天野漆器 【 高岡漆器 】

螺鈿(らでん)とガラス
新しい漆の世界

高岡漆器の歴史は、江戸時代の初めに遡る。加賀藩主二代目前田利長が高岡城を築いた際、城に置くお膳や家具を作らせたのが始まりと言われている。中国から堆朱、堆黒などの技法が伝わり、高岡漆器の特徴である、木彫りや地紋の上に漆を塗り込む彫刻塗りや、薄く削った貝を埋め込み華やかな絵柄を表現する螺鈿などの技術につながった。
天野漆器は、1829年に、高岡漆器を製造する工房として創業した。当初より暮らしにあった製品を作り続け、お盆や小箱、硯箱など、その時々のニーズと向き合いながら、「自分たちが使うのであれば」を心がけた、オリジナルの商品開発を行っている。

 

異色の組み合わせから生まれる、
唯一無二の美しさ

手仕事で作り上げられる天野漆器の製品は、螺鈿や木彫りなどの加工が加わっていることもあり、一つひとつが唯一無二、という点にもある。同じように見える花や鳥、自然の模様も、自然の貝が作り出す色合いは一つとして同じものはない。
さらに、その唯一無二の美しさを、透明感のあるガラスに組み合わせた「螺鈿ガラス」は、漆器に親しんできた日本人も驚かせた逸品だ。ガラスに螺鈿の装飾を施し、漆で包み込んだ。薄い貝の輝きは漆とガラスに包まれ、より美しさを増す。
届きそうで届かない、螺鈿の輝き。天野漆器の職人の技が生み出したのは日本人の美意識を閉じ込めた新たな漆の世界だ。

日本工芸堂/天野漆器